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「知的財産の価値」
(司法試験予備校によるソフトの不正コピーと著作権法改正)

2001.4.13 - written by Tomohito Ihara -


米国は、従来より、日本やその他アジア諸国では、知的財産権が侵害されており、米国企業が多大の損失を被っているとの主張を繰り返してきました。確かに、一般的によく言われるように、以前は、目に見えないものに対して、金銭を支払うことには何となく抵抗があったような気がします。しかし、米国の強い主張に加え、日本企業自体が、ハードウェアでは付加価値が得られずに、ソフトウェアでの利益を求めたこともあり、徐々にソフトウェアの経済的価値に対する認識というのは変わってきたと言われていました。

しかし、4月20日の朝日新聞によると、マイクロソフト、アップルコンピュータ、アドビ・システムという米国の3社が、東京リーガルマインドという司法試験予備校を、著作権侵害で訴えたとのことです。事実関係は必ずしも明確ではなく、新聞報道によると、争う姿勢を示しているとのことですが、法律を教えている予備校が、かかる訴えを受けたというのは、皮肉といえるでしょう。もしかすると、米国企業は、象徴的な意味も込めて、司法試験予備校を訴えたのかもしれません。もし、この訴えが事実だとすると、日本における知的財産の価値に対する認識が依然として低いことを象徴することになりかねません。

知的財産の価値を軽視しがちな傾向は、立法・司法の世界でも指摘されてきて、その典型が、損害賠償の額でした。従来の日本での知的財産権訴訟では、仮に知的財産権侵害が裁判所によって認定されたとしても、その額は、侵害された企業にとっては、裁判のコストに比較して、必ずしも十分なものではなく、逆に言えば、侵害した企業としては、「侵害し得」ともいえる状況であったのです。

しかし、これについては、「ビジネスモデル特許戦略」の中でもご紹介したように、特許の世界では、1998年10月に薬に関する特許権侵害訴訟において、30億円という日本での最高額の損害賠償を認める判決が出たり、1998年の特許法改正では、損害賠償制度の見直しを行うなどの対応がなされてきました。

そして、著作権法については、4月27日に改正法が通過し、損害賠償ではなく、違法コピーなど著作権侵害をした法人に対する罰金額の上限を、現行の300万円から1億円に引き上げることとなりました。これは、知的財産の価値を認め、「侵害し得」とならないようにする一つの方法でしょう。

もちろん、損害賠償額にしても、罰金にしても、何でも高ければいいというものでもなく、米国などで見られる想像を絶するような損害賠償額が正しいということはないと思います。

そもそも、損害賠償という形になってはじめて知的財産権の価値が議論されるというフェーズから、知的財産そのものがもっとビジネスとして扱われるフェーズに移ることが重要だと思います。つまり、知的財産が、市場競争の中で、生成、流通、評価、そして活用されるような社会になれば、自然とその価値は"正しく"認識されるようになるでしょう。ビジネスモデル特許についても、上記のような世界であれば、そのビジネスモデルの知的財産として価値について相場感が形成され、警告書や提訴という形にならずに、うまく流通、活用されるのではないかと思います。



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