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知的財産サロン 知 的 財 産 サ ロ ン:『フジサンケイ ビジネスアイ』オピニオン面「知的財産サロン」毎週金曜日掲載

2004/3/5紙面掲載
あなたもなれる? 発明長者[1] 職務発明って何だろう
契約書や規定をチェックしよう

「知財ビジネス&ビジネスシステム」中岡浩

 青色発光ダイオード(LED)訴訟で中村修二・米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授に、二百億円の発明報奨(補償)を認めさせる一審判決が東京地裁であった。日亜化学工業が最初に中村教授に支払った発明の対価はたった二万円であり、なんと百万倍の価値が認められたことになる。「これは世紀の大発明だったから例外だ」ということなかれ。こうした職務発明の対価についての知識を持ち、企業の制度や姿勢をきっちりチェックしておくことは、後々のトラブル回避のためにも重要なことだ。

■自分の業務とは無関係なら職務発明にはならない■

 そもそも職務発明とはなんだろう。勤める企業(または国、自治体)の定款などに記される業務範囲に関係していて、発明者がこれまでにわたり携わってきた職務に属している発明のことを指している。
 特許法三五条では「当該使用者などの業務範囲に属し、かつ、その発明をするに至った行為がその使用者などにおける従業者などの現在又は過去の職務に属する発明」と定めている。
 仕事に関係した発明といえば、色々なケースがある。どういう場合が考えられるか、少しケーススタディーしてみよう。
(1)企業の方針の下で研究テーマを指示された研究者が企業の設備内で考案した発明(2)企業の事業に関係する発明ではあるものの、当該業務とはまったく関係の無い職務を持った社員が発明する場合、例えば自動車会社の営業者社員が新しいエンジン技術の一部分を開発するといったケース(3)ビジネス化が可能だが、まったくプライベートな時間、場所で自分が勤める企業の業務には関係のない発明をした場合――などさまざまだ。
 問題なく職務発明と認められるのは(1)の場合だ。(2)のように、たとえ企業の業務範囲に属していても、自分の担当する職務とは無関係な発明ならば、職務発明にはならない。これは業務発明と呼び個人のものとなる。(3)のようにまったく企業の業務、職務とは関係ない場合は自由発明という。このように研究者は、自分の発明が職務発明なのか、そうではないのかを、まずは理解しておく必要がある。

■自分のお金の出入りをまず調べよう■

 職務発明長者への道の第一歩は、自分のお金の出入りをチェックすることから始めよう。これまで、企業から通常の給与や臨時給与(ボーナス)以外に、受け取ったお金がないかを調べてみよう。何か発明した時に奨励金のようなものをもらわなかったか。社員や部員の前で表彰されて金一封をもらい拍手されたことはなかっただろうか。また特許を申請したときやその後に、企業から振り込まれたお金がなかっただろうか。大した金額じゃないので気にもとめなかった振り込みが、実は企業の利益に大貢献した発明に対する報奨であったかもしれない。
 次に、企業と結んだ契約書がないかをチェックしよう。職務発明に関係する文言が何かの契約書に記載されていないだろうか。例えば「職務発明にかかる特許権など譲渡契約書」といった契約書を持っていないだろうか。
 「職務発明にかかる特許権など譲渡契約書」には、(1)乙(発明者=研究者等)が甲(企業)に特許権および特許を受ける権利を譲渡すること(2)譲渡するのは職務発明であること(3)譲渡の対価としての支払い金額、支払い期間(4)権利者名を移転登録すること(5)関連手続き費用の負担者――などに関して記載されているはずだ。
 次に確かめるのは、企業の規定類だ。入社以来、企業からもらった様々な規定集や発令された辞令を、机の中から引っぱり出してみよう。まずチェックするべきは社員の発明に関する特別な規定があるかだ。それがない場合は、通常の職務規定や就業規定類を確認する。
 職務規定や就業規定等には、社員の職務遂行上で順守すべき事柄が定められているが、職務発明をした場合、必ず企業へ届け出ることを義務付けることなど、職務発明関連の項目が挿入されている場合もあるので注意する。
 これら規定類でチェックすべき点は、(1)対象となる発明についての領域(2)権利の帰属(権利者名)(3)報奨金の有無、金額――等の定めが示されているかである。
 また、異動の際に交付された辞令や各部門・部課や自らの職務分掌などについての規定、通達や書類があれば、内容を確認しておこう。これらは自分の職務を表しており、職務発明かそうでないのかの決め手になるからである。
 契約書や規定等をあたって見るだけで、研究者として自分の置かれている立場が明確になってくるはずである。
(ミニ用語解説)

◇発明者◇
 発明者とは、発明を成した人で、特許を受ける権利を持っている人のことである。企業のような法人は発明者にはなれない。この理由は、発明とは人のみができる行為だからである。企業の指示によって、仕事としてなされた発明であっても、原則として発明した従業者(研究者)が発明者となる。ただし、発明者になれるのは人だけだが、特許を受ける権利は人が法人(企業)に譲ることが可能で、法人も特許を出願できる。

◇特許法三五条◇
 特許法三五条は職務発明を規定した条文だ。職務発明の場合、企業も発明の完成に貢献しているわけであり、発明が特許となれば企業にも使う権利や譲り受ける権利を認めている。職務発明の場合、たとえ発明者が特許権を得たとしても、企業は法定の通常実施権を持ち、発明された特許をただで使うことができる。また職務発明の場合、企業は発明者から特許権者になる権利を相当な対価をもって得ることができる。


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